区内循環バスは縮小ではなく、利便性向上を

 区は、区内循環バスの停留所や料金の見直しを検討していますが、区の見直し案は料金の値上げや停留所の削減などになっています。
 日本共産党の村本ひろや区議は、6月9日に区内循環バスの利便性向上を求めて本会議で質問しました。

村本区議の質問

 質問の第3は、区内循環バスの利便性の向上を図ることについてです。
 初めに、区内循環バスの見直しを性急に行わないことについてです。
 本年5月11日付け墨田区のお知らせに、区内循環バスの今とこれからを考えようと題する記事が出ましたが、これに対して、区民の方から不安の声が上がっています。
 お知らせの4面では、区内循環バスの見直しを行いますとして、北西部ルート、北東部ルート、南部ルートにおける区間別の利用状況、乗車人数が示されていますが、乗車人数が少ないところは廃止されるのか、近所の停留所は廃止されてしまうのかなど、不安や批判の声が多く出ています。
 区は、本年3月18日の地域公共交通等調査特別委員会で、「見直しの必要性について十分にご理解いただいた上で進めていく必要があると考えている。」と述べられましたが、墨田区のお知らせでは、バスの運行ルートやダイヤの見直し、運賃の見直しなど、どういう方向性で進めるかについて結論付けるような書き方がされています。そういった方向性や計画については、区民の声を十分聞いてから決めるべきではないでしょうか。
 このような内容を掲示してから、区民にアンケートの協力をお願いするのでは、区民の側も自分たちが声を上げても、見直しの方向性は変えられないのではないかと受け止めてしまいます。
 区長は、区が示す区内循環バスの見直しの方向性に対する区民の不安の声について、どのように受け止められているのか、答弁を求めます。
 また、こういった区内循環バスの見直しを性急に行うべきではないと考えますが、区長の見解を伺います。
 次に、循環バスのルートの維持・充実や、運賃の抑制を図るための支援についてです。
 全国では、収入が十分見込めない、バスの運転士を確保できないなどの理由から、多くのところでバスルートが廃止されたり減便されたりしています。墨田区の循環バスも2024年度から減便が行われ、利用者から不便になって困るなどの声が出ています。
 公共交通をどうするかについては、国や自治体が十分な責任を果たすべき問題でもあります。本区としても、今後、循環バスのルートの維持や充実を図るために、運行を行うバス会社への公的な支援を強めるなどの対応を行うべきです。区長はどのように考えているのか、見解を伺います。
 また、運賃について、区は見直しをする考えを示していますが、運賃の値上がりが起これば、更に区民の利用に影響が出てきます。物価高騰も続く中で、運賃の値上げは、特に所得の低い人にとっては、新たに重い負担となります。交通費の負担の重さは、区民の外出をためらわせる原因ともなり、健康や経験格差にもつながる問題です。
 区として運賃の値上がりが起こらないよう、公的支援を強めていくことを含め、対応を図るべきではありませんか。区長の見解を伺います。
 次に、運転士を確保するための独自の支援についてです。
 お隣の葛飾区では、2024年度からバス運転士の確保や定着促進に向けた待遇改善や採用活動を積極的に行うバス事業者に対する支援を行っています。
 具体的には、大型自動車第二種免許保持者の住居手当として、1人当たり月額上限2万円までの事業者助成、バス事業者の人員募集に関する活動への助成、女性のバス運転士が働きやすい環境づくりなどへの助成です。
 バスの運転士については、長時間労働が大きな問題となっており、安全性への懸念も示されてきました。2024年4月には、そうした問題も受け、バス運転士の時間外労働時間の上限規制、拘束時間の上限規制が設けられました。
 しかし、それで十分とは言えず、抜本的な処遇改善が必要です。
 全国でバスの運転士の確保が大きな課題となっていますが、現在の働く環境、処遇が大きく影響しています。それらは、事業者任せでは改善がなかなか図られない課題です。公的な支援が必要です。
 バスの運転士が十分確保できていないことが、バスの減便やルート廃止にもつながっています。本区でも葛飾区のような独自の支援を行うべきではありませんか。区長の前向きな答弁を求め、私の質問を終わります。(拍手)

山本区長の答弁

 ただいまの区内循環バスの利便性向上に関するご質問にお答えします。
 まず、事業の見直しについてです。
 区では、本年3月に策定した墨田区地域公共交通計画に基づき、区内循環バス事業を持続可能なものとしていくため、新たな事業計画の策定に向けた検討を進めています。
 循環バスは、区民生活における移動を支える交通手段であり、事業の見直しに当たっては、その必要性を区民の皆さんにもご理解いただきながら進めていくことが重要であると認識しています。
 そのため、まずは、区のお知らせにより、バス事業の現状と課題をお伝えさせていただいたところであり、これを踏まえてアンケートに回答いただきたいと考えています。
 コミュニティ懇談会等で説明する中では、幾つかのご意見をいただいていますが、引き続き様々な場を通じて、区民、利用者、事業者などの声を聞きながら、丁寧に検討を進めていきます。
 次に、バスルートの維持や充実、運賃抑制に係る支援についてです。
 区民の日常の足としての利用が多いという実態を踏まえると、今後のバスルートの在り方については、慎重に検討することが必要であると考えています。
 一方で、全国的な運転士人材の不足や、働き方改革関連法施行に伴う影響などもあり、区の支援のみで課題を解決することは難しい状況にあることから、区民の利便性と事業の持続可能性の双方を勘案しながら、検討を進めていきます。
 また、運賃については、収支バランスや他の交通機関との公平性の観点から、適正な運賃設定を検討したいと考えていますが、外出機会の抑制につながらないよう、福祉的な観点にも配慮していきます。
 次に、運転士を確保するための独自の支援についてです。
 運転士の処遇管理改善に関して、現時点では、区として財政的な支援は考えていませんが、人材の確保に向けて、様々な形で事業者と協力していきます。
 以上で、日本共産党、村本議員のご質問に対する答弁を終わります。

よかったらシェアしてね!
目次